中山道69次 No.19 贄川駅-(約13km)-藪原駅
2012年 4月 3日(火) 08:45 曇りのち雨
贄川駅 木曾考古館 贄川のトチ 押込一里塚跡 諏訪神社 平沢集落 鎮神社 鳥居峠一里塚跡 御嶽遥拝所 藪原駅
駅前の飲食店 贄川宿看板 関所橋
関所橋レリーフ 木曾考古館
JR贄川(にえかわ)駅から19号線をJR中央本線沿いに南へ進む。すぐ左手に贄川宿看板がある。ゆるい坂を5分ほど上り、左折して関所橋を渡り贄川宿へ入る。関所橋の欄干には、大名行列などのレリーフがある。欄干に掛けられた金属のパイプを順に叩くと、木曽節が奏でられる。橋を渡ると左からの道は、途中消滅している旧中山道。坂を下ると、右手に贄川関所を復元した木曾考古館がある。
社が乗る水飲み場 秋葉神社 / 津嶋神社 古民家
津島神社 / 秋葉神社 深澤家住宅 社が乗る水飲み場
旧中山道を南へ進むと、すぐ右手に社が乗る水飲み場 / 右手に秋葉神社・津嶋神社合同の鳥居と社 / 右手に津島神社・秋葉神社と続く。合同の鳥居であるが社は別々にある。神号碑(水神) / 神号碑(水神) / 神号碑(大山○神) / 社 / 不動明王 / 社 / 道祖神と並んでいる。この辺りに本陣や脇本陣があったが、昭和5年(1930年)の大火で焼失している。すぐ左手に深澤家住宅3棟(重文)がある。深澤家の屋号は加納屋で、京や大阪まで販路を伸ばし苗字帯刀を許された贄川宿屈指の商人。旧中山道に面して嘉永4年(1851年)再建の主屋、背後の中庭を挟んで文政4年(1821年)築の北蔵と文久2年(1862年)築の南蔵がある。通りを挟んで、右手には、社が乗る水飲み場がある。
水神 贄川のトチ 常夜燈
張り出した歩道 馬頭観音 中山道碑
石塔群 灯篭と水飲み場
社が乗る水飲み場からすぐに宿場の外れになる。右手に標識があり、右折して道なりに小道を進むと、右手に神号碑(水神)がある。すぐにJR中央本線を歩道橋で越え、左折して19号線を進む。すぐ右手に、長野県天然記念物・贄川のトチが見える。天文5年(1740年)の文献にある大樹で、樹齢1000年・樹高33m・根元周囲17.6m。10分ほどすると左手にある木曽路民芸館前を通り、19号線沿いに張り出した歩道を進む。突き当りを左折して、階段を登る。山道を進むと、すぐ右手に馬頭観音 / 右手に中山道碑 / 右手に社 / 右手に石塔群 / 左手に灯篭と水飲み場 / 右手の畑に押込一里塚跡と続く。石塔群は、倒れている不明の石塔 / 題目塔(南阿弥陀仏) / 二三夜庚申塔 / 不明の石塔 / 不明の石塔 / 馬頭観音と並んでいる。
押込一里塚跡
西筑摩郡楢川村道路元標 町並み 芭蕉句碑
諏訪神社拝殿 二十三夜塔 中山道道標
平沢集落 中山道道標
すぐに突当りを右折、奈良井川に架かる桃岡歩道橋を渡る。続いてJR中央本線を潜り、19号線の坂を道なりに進む。5分ほどすると標識があり、左へ進む。15分ほどすると19号線と合流、平沢交差点を右折して257号線を進む。すぐに左手に道の駅ならかわがある。10分ほどすると左手に西筑摩郡楢川村道路元標があり、すぐに塩尻市楢川支所入口を左折する。すぐ右手に「送られつをくりつ果ては木曾の秋」芭蕉句碑 / 右手に案内板と続き、右手の山道へ入る。すぐに諏訪神社境内に入り、左手に諏訪神社拝殿がある。右手の鳥居を潜り、階段を下る。左折して257号線を進むと、すぐ左手に二十三夜塔 / 左手に判読できない中山道道標と続く。すぐに会津若松や輪島と並ぶ漆塗り生産地、漆器の里・平沢集落に入る。狭い道の両側に、漆器店が並ぶ。重要伝統的建造物群保存地区になっている。10分ほどすると、右手に2つの社 / 右手に「左 奈良井 右 漆器の町平沢」と彫られた中山道道標 / 「JR奈良井駅1.7km JR木曽平沢駅0.5km 諏訪神社0.7km」道標がある。すぐに標識があり左へ進む。
中山道道標 川沿いの道 橋戸一里塚跡
道標
馬頭観音 JR奈良井駅
道標から道なりに5分ほど進むと、左手にJR中央本線・第3中仙道踏切がある。この辺りから旧中山道は、松並木が残る二百地蔵辺りまで消滅している。踏切を渡り、すぐ右折して線路沿いに坂を下る。すぐ左手に倒れかけた「左(判読できず) 右 奈良井宿」と彫られた中山道道標がある。5分ほど川沿いの道を進むと、右手の対岸に消滅している旧中山道の橋戸一里塚跡が見える。5分ほどすると突き当り、右折して奈良井川橋を渡る。橋の手前左手に「左 国道 右 中山道」道標がある。橋を渡り左折すると、右手に馬頭観音がある。5分ほどするとJR中央本線奈良井道踏切を渡る。線路沿いに坂を下ると左手に奈良井駅が見える。

中山道69次 34番 奈良井(ならい)宿
所在地:長野県塩尻市
天保14年(1843年)中山道宿村大概帳
人口:2155人 家数:409 本陣:1 脇本陣:1 旅籠:5

木曽路11宿では最も標高(約940m)が高い。藪原宿との間にある難所の鳥居峠を控え、多くの旅人で賑わい奈良井千軒と云われた。江戸寄りから下町 / 中町 / 上町に分かれ、中町と上町の間に鍵の手がある。水場は、山側に6ヶ所ある。重要伝統的建造物群保存地区として、町並みが保存されている。江戸時代から曲げ物 / 櫛 / 漆器などの木工業が盛んで、旅の土産物として人気があった。
JR奈良井駅 奈良井宿碑と案内板 斜めに交差する道
JR奈良井駅からすぐに宿場通りに入る。すぐ左手に奈良井宿碑と案内板、斜めに交差する変則十字路がある。
八幡宮鳥居
八幡宮社殿 杉並木
右から下りてくる坂道は、途中が途切れている旧中山道。坂を登ると左手に八幡宮への石段がある。鳥居を潜り、さらに石段を登ると右手に社殿がある。旧中山道は鳥居手前から右へ、杉並木が残る道を進む。すぐ左手に地蔵堂 / 手前に廿三夜塔や題目塔(南無阿弥陀仏)など比較的大きな石塔 / 地蔵堂前に観音や地蔵が200基ほどが並んでいる。明治に入ってからの国道整備や鉄道敷設のとき、奈良井宿周辺から集められた。旧中山道はすぐ先で途切れている。
二百地蔵
[寄り道]木曽の大橋
南側に架かる橋よりの眺望
奈良井川東岸側
裏側の構造 木曽の大橋
斜めに交差する変則十字路を左へ、道なりに進む。鋭角に左折して、JR中央本線を潜る。右折して線路沿いに5分ほど進むと、左手に木曽の大橋が見えてくる。木曽の大橋は奈良井川西岸と東岸に架かる橋で、樹齢300年以上の木曾檜造りの太鼓橋。
宿場入口 枡型 専念寺
斜めに交差する変則十字路を直進すると、宿場通りに入る。奈良井宿はJR奈良井駅側から、下町 / 中町 / 上町と区画される。すぐ右手に枡型があり、右折して枡型を通る。右へ坂を登ると、すぐ左手に専念寺がある。
下町の水場 土産店 格子戸
法念寺 杉の森酒造 中町の水場
宿場通りを進むと、すぐ右手に水場がある。奈良井宿には下町 / 中町 / 上町に各2ヶ所、計6ヶ所の水場が通りの右手にある。中町に入ると、左手に寛政5年(1793年)創業の杉の森酒造 / 右手に水場がある。水場を右折すると、左手に庚申塔 / 社 / 庚申塔 / 不明の石塔 / 神号碑(金毘羅大権現)が並んでいる。直進すると奈良井氏居館跡に行けるが、熊出没情報があり諦める。
社 / 石塔群
大宝寺 徳利屋郷土館 町並み
常夜燈 神明宮 本陣跡
宿場通りを進むと、すぐ右手に天正10年(1582年)創建の大宝寺 / 庭園墓地(有料施設)にマリア地蔵がある。すぐ左手に郷土館となっている旅籠徳利屋がある。水場がある十字路を右折すると常夜燈 / 左へ進むと神明宮 / 右へ進むと本陣跡がある。
中町の水場 町並み 上問屋史料館
宿場通りを進むと、すぐ右手に問屋と庄屋を兼務した天保11年(1840年)築の手塚家がある。上問屋歴史資料館になっている。奈良井公民館手前を右折すると、突き当りに宇治茶を江戸へ運ぶ“お茶壺道中”の宿泊所として使用されていた長泉寺がある。
長泉寺
荒沢不動
鍵の手 加納院碑
双体道祖神 上町の水場 浄龍寺
宿場通りを進むとすぐに鍵の手があり、上町に入る。左手に荒沢不動堂 / 左手に加納院碑 / 左手に昭和61年(1986年)造立の双体道祖神と続く。右手にある水場を右折すると、突き当りに浄龍寺がある。
町並み(右:中村家) 土産店 若宮神社
宿場通りを進むとすぐ右手に、天保年間(1830年〜1843年)築の中村家がある。そば屋の小道を右折、急な石段を登ると若宮神社がある。
高札場 上町の水場 水場背後の石塔群
宿場通りを進むとすぐ右手に、昭和48年(1973年)に復元された高札場 / 水場 / 鎮(しずめ)神社と続く。水場背後に、庚申塔 / 廿三夜庚申塔 / 倒れている 題目塔(南無阿弥陀仏) / 題目塔(南無阿弥陀仏) / 庚申塔 / 庚申塔 / 庚申塔 / 庚申塔 / 道祖神と並んでいる。疫病を鎮るため下総国香取神社から勧請したことが、鎮神社の由来となっている。本殿は寛文4年(1664年)築。
鎮神社神楽殿と拝殿
句碑 楢川民族資料館石塔群
鎮神社からすぐ右手に楢川民族資料館がある。旧中山道に面して、句碑 / 15基を越える石塔が並んでいる。
中山道道標 分岐 中山道道標
すぐ右手の石段を登り、細い道を道なりに進む。車道に出る手前左手に、「左 奈良井 右 鳥居峠」と彫られた中山道道標がある。すぐに分岐があり、右へ進む。すぐに「奈良井宿0.30km 鳥居峠2.01km」道標 / 右手に「下る 奈良井宿 上る 鳥居峠」と彫られた中山道道標がある。案内板横に「友愛の杖」が置かれている。雨が降る旧中山道の山道を登ると、途中には石畳の道や沢に架かる橋がある。 
山道 石畳の道
中山道道標から15分ほどすると、右手に木曽駒が岳展望台への道標 / 左手に地蔵と続く。すぐ右手に中の茶屋跡に小屋がある。ここは天正10年(1582年)木曽義昌と武田勝頼が戦った古戦場跡。敗れた武田方の500余名の戦死者でこの沢が埋まり、戦死者を葬った場所から葬沢(ほうむりさわ)と呼ばれる様になった。30分ほどすると、右手に鳥居峠一里塚跡がある。
地蔵 鳥居峠一里塚跡
雪が残る道 中山道道標 句碑

鳥居峠一里塚跡から5分ほどのところにある橋を渡ると、雪が残る道になる。すぐに旧国道と合流、「鳥居峠100m JR藪原駅3.4km 奈良井宿2.0km JR奈良井駅3.0km」道標 / 左手に「左 奈良井宿 右 鳥居峠」と彫られた中山道道標がある。すぐ左手の中利茶屋跡に建てられた休憩所の前に句碑がある。休憩所で雨宿り、昼食を摂る。

鳥居峠
奈良井宿と藪原宿の間にある標高1197mの峠で、旧中山道の難所であった。古代に吉蘇路(きそじ)が開かれた時代は、美濃と信濃の国境であったことから県坂(あがたざか)と呼ばれていた。中世には、ならい坂や藪原峠と呼ばれた。明応年間(1492年〜1501年)木曽義元が御嶽山に戦勝を祈って峠に鳥居を建てから、鳥居峠と呼ばれるようになった。日本海に流れる信濃川水系の奈良井川と、太平洋に流れる木曽川との分水嶺となっている。
中利茶屋跡に建てられた休憩所を鳥居峠と勘違いする。旧中山道は左手にある坂をさらに登る。鳥居峠から明治天皇駐蹕(ちゅうひつ)所跡を通り、御嶽遥拝所へ通じていた。駐蹕所とは、天皇が行幸の際に乗り物を止めて休憩したところ。明治天皇駐蹕所跡から先に進むと、旧国道と明治道が分岐するところに至る道がある。
道標 道標 御嶽遥拝所
雪の残る旧国道を下ると、すぐに「奈良井宿3.4km JR藪原駅3.0km」道標 / 右手に「左 明治道 右 旧国道」と彫られた道標がある。ここは四差路になっており、明治天皇駐蹕所跡からの道が合流する。明治になってから開かれた明治道を進むと、すぐに熊除けの鈴がある。5分ほどすると左手に「左(判読できず) 右 中山道」と彫られた道標 / 「奈良井宿 JR藪原宿 丸山公園」道標 / 右手に御嶽遥拝所の鳥居と続く。木曽義元が御嶽山に戦勝祈願し鳥居を建てたことから、鳥居峠の名の由来となった御嶽遥拝所。御嶽遥拝所の右手には数多くの石塔ある。
御嶽遥拝所の石塔
中山道道標 馬頭観音 不明の石仏
不明の文字塔 中山道道標 原町稲荷社

御嶽遥拝所から5分ほどすると、「鳥居峠300m 丸山公園100m JR藪原駅2.7km」道標 / すぐ左手に雨に濡れた吹きっさらしの展望台 / 左手に「左右 道 大宮新道」と彫られた中山道道標 / 右手に馬頭観音と続く。5分ほどすると、右手に不明の石仏 / 不明の文字塔と続く。5分ほどすると、「鳥居峠1.1km JR藪原駅1.9km」道標 / 熊除けの鈴 / 右手に「下る 藪原宿 右 旧国道」と彫られた中山道道標がある。5分ほどすると左手に原町稲荷社があり、雨宿りをする。すぐに「鳥居峠1.3km JR藪原駅1.7km」道標 / 「左中山道 右旧国道」と彫られた道標があり、車道と合流する。案内板横に「友愛の杖」が置かれている。

道標
道標 天降社鳥居 不明の石柱
飛騨街道追分標柱 線路沿いの小道 神号碑(津嶋大神) / 神号碑(水神)

道標から10分ほどすると、左手に「左 中山道 右 国道」と彫られた道標 / 左手に天降社鳥居と続く。5分ほどすると、左手に不明の石柱 / 左手に飛騨街道追分(分岐点)標柱と続く。旧中山道はそのまま坂を下って藪原宿に入っていたが、鉄道敷設のため寸断されている。すぐに小道を右折、突き当りを右折して線路沿いに登る。右手に神号碑(津嶋大神) / 神号碑(水神)がある。

中山道69次 35番 藪原(やぶはら)宿
所在地:長野県木曽郡木祖村
天保14年(1843年)中山道宿村大概帳
人口:1493人 家数:266 本陣:1 脇本陣:1 旅籠:10

難所の鳥居峠を越えてきた旅人の疲れを取る宿場で、高山への飛騨街道との分岐点としても賑わった。宿場北側の中山道は鉄道敷設により寸断されている。ミネバリの木で作られたお六櫛店が軒を連ねていた。鳥居峠の近くにミネバリ木が沢山あり、享保年間(1716年〜1735年).には薮原宿でも造られるようになる。日本一の生産規模となるが、現在はプラスチック製品に替わり、生産は少ない。

藪原宿本陣跡 町並み 防火高塀跡
火迺要慎 / 神号碑(津島大神) 町並み 高札場跡

道なりに歩道橋で線路を越え、線路沿いに進む。すぐ左手に藪原宿本陣跡 / 左手に防火高塀跡と続く。藪原宿本陣は木曽氏の家臣の古畑十右衛門邸の本陣で、木曽11宿で最大の規模であったと云われている。防火高塀は元禄8年(1695年)の大火後に造られたもの。石垣に、火迺要慎(ひのようじん)と彫られた自然石と神号碑(津島大神)が置かれている。10分ほどすると、右手に高札場跡がある。左手の地下道でJR中央本線を潜る。5分ほどするとJR薮原駅に至る。

奈良井宿は、2012年6月に撮影した画像があります。