中村由信氏のスナップフォトの決定的瞬間
海女U
[対馬]
400年ほど前の古文書によると、筑前・国鐘ヶ崎の海女たちが対馬や輪島に移住したのが始まりとされている。遠く離れていても潜る格好は同じ姿である筈であるから、スケベ心は開眼した。海女の殆どが黒いウエットスーツ姿になると、被写体としての興味を失っている。白い磯着を着る場合でも、その下にはウエットスーツを着けている。
夏のある日、明朝9時から沖に出る船に同行取材することになった。前の晩に生きのいい刺身と麦焼酎でご満悦となり、撮影日の朝は実に心地よく醒める。瀬戸内海の島育ちの中村由信さんは普段は一気に潜るが、1mも潜ると心臓が口から飛び出るばかりにドキドキして息がまるで続かない。何度試みても駄目で急いで船にあがるが、目もくらくらする。海中で二日酔いになったのである。海女さんに大笑いされながらも、昼飯後には海に飛びこんで撮影している。
撮影地の舳倉
(へぐら)島は、石川県能登半島の輪島から約42km沖の日本海に浮かぶ周囲4km程の島。御宿(おんじゅく)町は、千葉県の房総半島中央部東端に位置する。村上(むらかみ)市は、新潟県北部の日本海に面する村上藩の城下町。

1962年6月日本の海女(中日新聞社)
1978年9月海女(マリン企画社)
1989年8月酔写醒談(オリンパスカメラクラブ)
漁場に着くと、次々に船から飛び込む。[舳倉]
一気に海底に向う。[舳倉]
お尻にタルと獲物を乗せ、同じ様な格好でリズミカルに歩く。[御宿]
漁が終わり、船を陸に引き上げる。[御宿]
.大きなタライを背負って漁に出掛ける。[村上]

獲物を入れるとともに、浮上して息を整えるときの浮き輪の役割も果たす。[村上]